アイドルは儚いものなので

ジャニーズ(主にJr.)を部外者が真剣に考えるブログ

真田佑馬主演「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」

新国立劇場(小劇場)でジャニーズJr.真田佑馬くん主演舞台「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」を観劇した。真田くんといえばJr.内でも演技派・俳優コースに近い人物として知られている。さらに演じるだけでなく趣味は映画観賞、舞台鑑賞を公言しており勉強熱心な一面も公のものだ。そんな彼だが、しかし今回の舞台の発表当初は驚きの声が多かった。Jr.の外部舞台出演がそもそも珍しいのに加えて、主演だ。デビュー組ですら外部舞台で、というか事務所制作の舞台でも主演を張れる人間は少ない。ストレートプレイの舞台にジャニーズJr.が挑戦するということも珍しい。このように彼の「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」主演は何から何まで異例尽くめなのであった。初座長公演を前に「どうしよう!」「差し入れ何したらいいのかなぁ?」とソワソワドキドキしていた彼を応援する気持ちで、観劇に行ってきた。

 

ストーリーはミステリ故に難解だと聞いていたけどしっかり集中して観ていれば事前知識がなくとも特に難しいことはなかった。聞き取りにくい専門用語なども出てこないので、戯曲家さんがかなり分かりやすい台本に仕上げているんだなと感動。

真田くんは相変わらず役のダークな部分を演じる役者さんだ、と感想を抱いた。それは過去に演じた『少年たち~格子なき牢獄~』の看守長のような純粋な快楽的暴力性だったり、『心療中~in the Room~』の相川朔也のように止められない悪意に苦しむ天才だったり、はたまた『オーシャンズ11』のライナス・コールドウェルのよう思春期特有の尖った自意識であったりする。純粋な悪、闇と倫理の間で揺れる人間性、爽やかな反抗期…種類の違う役柄だが、真田くんはうまくその人物の暗い部分を抽出して表現しているなといつも思う。そして今回もまたゼバスティアンという役の(闇しかないような役ではあったが)闇としっかりと向き合っていた。今までと違うと感じたのはゼバスティアンに「波」がはっきりと存在していたことである。今までの真田くんはお芝居の間中ずっとスイッチが入りっぱなし、というイメージがあった。声もずっと張っているし、ダーッとまくしたてるように話す台詞のあとはなかなかスローペースへと呼吸を戻せない。その為「芝居がかってる」と感じた観客が不意に一歩引いた場所へと視点を戻してしまうこともあっただろう。それが今回はスイッチのオンとオフ、感情の波が何度も訪れた。優しい口調と荒い語気の交差はよりゼバスティアンの人間らしさを見せ、彼をただの冷酷な狂乱者にはさせなかったのだ。演じようによってはもっと人間性を薄めてとうてい理解できない存在にも出来たであろうゼバスティアンという役だが、私はむしろ愛おしいとすら思った。彼を愛する恋人のソフィアの気持ちも分かった。可哀想で、愛おしくて、助けてあげたかった。今回見せた真田くんの演じ方がそういうゼバスティアンを作り上げていたのだろうと思う。

残念ながら東京公演は明日で千秋楽。もう一度観たいなという私の欲は叶えられそうもないが、これから地方各地での興行が始まる。興味のある方、なかでも過去の真田くんのお芝居を舞台だろうがドラマだろうが観たことのある方にはぜひ劇場に足を運んで頂きたい。彼の努力と研究の成果を体感してもらいたいと願う。

そのうち彼にも「ジャニーズJr.」という肩書きを外す日が来るのだろうなと思わされた舞台だった。