アイドルは儚いものなので

ご多忙ごきげんOL

バカレア枠を振り返る

日本テレビ系土曜深夜枠のドラマを、ジャニヲタ用語では「バカレア枠」と呼ぶ。2012年4月「私立バカレア高校」からこの枠でジャニーズ事務所のタレントを主に起用するドラマがスタートしたからだ。そんなバカレア枠が、先日の「お兄ちゃん、ガチャ」最終回を持って終了することとなった。「お兄ちゃん、ガチャ」の後続に、ジャニーズ事務所所属タレントのドラマではなく、AKB48のメンバーによる旅番組が放送される予定である。「私立バカレア高校」から「お兄ちゃん、ガチャ」まで、たくさん楽しませてもらってきたお礼とさよならの代わりに、私なりに見所やら感想やらを作品ごとに振り返っていく。「平成舞祭組男」は観ていなかったため除く。

 
  • 私立バカレア高校」2012.4〜6チープだけど勧善懲悪で清廉潔白でかわいいは正義でイケメンが最強の、アイドル好きが好きになるドラマ。それまで女の子と並ぶJr.を見る機会は少なかったが、このドラマでいつもは気づかなかった男らしい身長や骨格の大きさに萌えた。ジャニーズJr.とAKB48の共演という話題性もあり注目度が高く、一発目にしてこの枠を確立させてくれた。松村北斗のPVでもある。2012年10月に劇場版が公開された。個人的に女の子と不器用に絡むジャニーズが好きなのでひたすら萌えた。
  • 「スプラウト」2012.7〜9…知念くん主演。少女漫画原作で、とにかく甘酸っぱくてキュンとしたりシュンとしたり、私の世代的には失った青春を振り返っているような感覚だった。モノローグを大胆に使っている点が特徴。ジェシーのPV。いつめんという役どころの田中樹くん、安井謙太郎くん、前島亜美ちゃん、藤井萩花ちゃんの四人組が可愛かった。のちに安井くんが自分は中高男子校だから、共学気分を味わえたのは前にやった学園ドラマだけ。と語っているのはこれのことだろう。
  • 「Piece」2012.10〜12中山優馬くん主演。少女漫画原作のミステリー。少女の死を中心に物語が動くので話が重い。チャラいくせに闇の深い成海くんを演じる優馬くんがひたすらタイプ。とにかく成海くんかっこいい結婚して。「好きなの?嫌いなの?どっち?」を筆頭に「どっち?」シリーズは至高。ベッドで女の子とイチャつく優馬くんも女の子を軽蔑の眼差しで見つめる優馬くんも、とにかく新しい優馬くんの姿が見れる。矢内先輩を演じた松村北斗くんの黒縁眼鏡は人気が高い。小池先輩を演じた安井謙太郎くんは℃-uteの超絶美少女鈴木愛理ちゃんと恋人役だったのだが、見た目の釣り合わなさがまさに小池先輩だった。スプラウトを彷彿とさせるモノローグは成功していたのか?という疑問はある。
  • 「心療中〜in the Room〜」2013.1〜3スクールカウンセラー稲垣吾郎さんが演じ、そこに相談にくる高校生達の話。Pieceよりもさらに暗くて重くてどんより。でも質量があって好き。高校生達はたくさん色んな闇を抱えたキャラクターが登場するのだが、特に好きなのは田中樹くん演じる光くん。最初は明るく優しく家族思いな爽やかな好青年として現れる。しかし何度もセッション(カウンセリング)を繰り返すうちに、彼の家庭環境や深く真っ暗な闇が見えてくる。彼の心にはなにもない、ただただ真っ暗な底のない闇だけが広がっているのだ。樹くん本人が、仲の良い男兄弟で家族思いな性格だということを知っているファンはその役と本人とを重ねてゾッとすることだろう。当て書きかと思うほどに彼が演じるから生きる役だったように感じる。
  • BAD BOYS J」2013.4〜7中島健人くん主演。広島県を舞台に、ヤンキー達のチーム抗争を描いた青年漫画が原作。喧嘩っ早い男の子達のお話ということでこの枠の中では「バカレア」に近い雰囲気で人気を博す。中島くん演じる司がトップの極楽蝶、キスマイ二階堂くんがトップの広島ナンバーワンチームBEASTA.B.C-Z橋本くん演じるヒロが率いるホスト系チームNights。三つのチームの全く違うチームカラーも魅力のひとつ。女性アイドル達との(片思いや友達以上の微妙な距離感ではなく)がっつり恋人役も新鮮。情熱や友情やプライドのために拳を合わせるという漫画的でわかりやすい話運びのため、アイドル好きが好きなドラマではないだろうか。2013年11月には劇場版も公開された。ナイツに担当のいた私は、ナイツの出番が多かった劇場版はお気に入り。
  • 「仮面ティーチャー」2013.7〜9藤ヶ谷太輔くん主演。勧善懲悪のヒーローもので見やすい。2014年2月にスペシャルドラマ放送、劇場版放映。笑ってしまうほどぶっ飛んだ展開や演出もあるが、それも深夜ドラマならではのものと思えば受け入れられる。個人的には京本くん演じるボンがお気に入り。クールな役のイメージのあった京本くんが喧嘩が弱くて金に物を言わせるボンボンを演じていて、さらにドラマ後半になると、視聴者がホッとできるような愛嬌のある立ち位置になってきたのも良かった。スーツアクターの方もその業界では人気のある方だったらしく、特撮ファンの視聴率も高かったようだ。
  • 「49」2013.10〜12佐藤勝利くん主演。野島伸司氏脚本。死んだ父親の魂が息子に入り、息子が二重人格になってしまうというもの。はじめは勝利くんのカタコト台詞回しが心配されたが、父親の発する台詞がクサくて昭和臭のする言葉の連続であった為、むしろそのカタコト加減が良い方向へ作用するというミラクルが起きた。前作(仮面ティーチャー)などと比べると幼くて可愛らしい高校生達の物語であり、家と学校という狭い世界で居場所を作って生きていかなければならない高校生のリアルもあった。自担が初めて三番手にクレジットの載ったドラマであった。
  • 「SHARK」2014.1〜3…平野紫耀くん主演。ジャニーズJrの単独主演は初めて。メジャーデビューを夢見るロックバンドの物語。出演者の並びや撮影編集の力もあり、この枠ではずいぶん大人な雰囲気を醸し出している。現実社会の不条理さや人間の性悪的本心のようなものを見させる部分もあるのだが、平野くん演じる瑞希の振り切ったまっすぐさ(しかしあまりに子供っぽさが過ぎるときもある)と不思議な釣り合いをとっていた。今思い返すと「不恰好にまとまっていた」と感想が出る。
  • 「SHARK〜2nd season〜」2014.4〜6重岡大毅くん主演。タイトルは「2nd season」と打っているが、全く違う、既にメジャーデビューを叶えたバンドの苦悩と葛藤の物語。「夢に向かって」が根本にあったために何をしても爽やかさがついてきた前作とは異なり、「夢見ることを終えて」現実的にプロとして生きていく道筋にはむしろ後悔や虚無感がつきまとう。全体的に暗くて陰鬱としていたので、アイドル好きするドラマではなさそう。個人的にはこういった現実の冷たさや己の無力さを突き付けられる人間ドラマは好きなのだが。ジャニーズWESTのCDデビューと同時期に放送されたため、本人たちと重ね合わせる見方も出来た。前作よりもバンドの楽曲が多く、楽曲制作とバンド内問題が同時に進んでいった為、最終回のライブシーンでの回想ダイジェストには見応えがあった。
  • 「近キョリ恋愛〜Season Zero〜」2014.7〜10…阿部顕嵐くん主演。山下智久くん主演映画「近キョリ恋愛」のエピソードゼロ。超絶イケメン山下くんの高校生時代を演じるのが顕嵐くんということで、ファンの中でも顕嵐くんがイケメン枠であることが共通認識されたきっかけ。爽やかでトキメキとキラメキを供給してくれるような映像のタッチ。夏ドラマはやはりこうでなくちゃ!と思う。明るく素直で笑顔弾ける恋愛体質な凜々子とクールで近寄りがたいポーカーフェイスなハルカの義姉弟シーンが好きだった。凜々子に振り回されつつ笑顔が増えて心開いちゃうハルカ最高。
  • 「平成舞祭組男」2014.10〜2015.1…舞祭組主演。見ていなかった。
  • 「お兄ちゃん、ガチャ」2015.1~3…岸優太くん・鈴木梨央ちゃん主演。野島伸司氏脚本。ファンタジックな世界を舞台に、お兄ちゃんがほしいと願う女子小学生向けにガチャでお兄ちゃんを引くことができるというお話。とにかく設定の勝利だ。岸くんは1話から最終話まで固定で、毎話もう一人以上の「お兄ちゃんゲスト」と呼ばれるジャニーズJr.がキャラの濃いお兄ちゃんとして登場する。この世界の中のお兄ちゃんと妹の関係性はアイドルとアイドルファンの関係性に重ねることができ、主要視聴者であるJr.ファンになにかしらのしこりというか考察の種を与えてくる。最終的にハッピーエンドじゃないあたりが好き。

 

全12本のドラマを通してジャニーズ事務所の若手タレントにチャンスを与えてくれた日本テレビさんには本当に感謝しているし、ここまで漕ぎ着けて三年間守ってくれた事務所スタッフさんや関係者の方々にも足を向けては寝られない。各個人ドラマによっては好き嫌いもあったかもしれないが、今までは地上波で見ること自体が奇跡だったようなジャニーズJr.のファンとしては「あれは好き」「あれはココが面白くない」「あの子がオイシイ、うちの子の役はオイシくない」なんて持論を展開したり批判したりするのも楽しかったのだ。ただただこんなチャンスと幸せを長きに渡って提供してもらえた事実に感謝感激である。もしもまたこの枠にジャニーズタレントを起用してくれるのなら微力ながら視聴率の足しになりたいし、自担含むタレント達にもその有難味を今一度噛みしめて臨んでもらいたいなと思う。兎にも角にも、毎週土曜のお楽しみをくれたスタッフさん関係者さん出演者さんすべての方へ、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。