アイドルは儚いものなので

ご多忙ごきげんOL

真田佑馬主演「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」

新国立劇場(小劇場)でジャニーズJr.真田佑馬くん主演舞台「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」を観劇した。真田くんといえばJr.内でも演技派・俳優コースに近い人物として知られている。さらに演じるだけでなく趣味は映画観賞、舞台鑑賞を公言しており勉強熱心な一面も公のものだ。そんな彼だが、しかし今回の舞台の発表当初は驚きの声が多かった。Jr.の外部舞台出演がそもそも珍しいのに加えて、主演だ。デビュー組ですら外部舞台で、というか事務所制作の舞台でも主演を張れる人間は少ない。ストレートプレイの舞台にジャニーズJr.が挑戦するということも珍しい。このように彼の「TABU~シーラッハ『禁忌』より~」主演は何から何まで異例尽くめなのであった。初座長公演を前に「どうしよう!」「差し入れ何したらいいのかなぁ?」とソワソワドキドキしていた彼を応援する気持ちで、観劇に行ってきた。

 

ストーリーはミステリ故に難解だと聞いていたけどしっかり集中して観ていれば事前知識がなくとも特に難しいことはなかった。聞き取りにくい専門用語なども出てこないので、戯曲家さんがかなり分かりやすい台本に仕上げているんだなと感動。

真田くんは相変わらず役のダークな部分を演じる役者さんだ、と感想を抱いた。それは過去に演じた『少年たち~格子なき牢獄~』の看守長のような純粋な快楽的暴力性だったり、『心療中~in the Room~』の相川朔也のように止められない悪意に苦しむ天才だったり、はたまた『オーシャンズ11』のライナス・コールドウェルのよう思春期特有の尖った自意識であったりする。純粋な悪、闇と倫理の間で揺れる人間性、爽やかな反抗期…種類の違う役柄だが、真田くんはうまくその人物の暗い部分を抽出して表現しているなといつも思う。そして今回もまたゼバスティアンという役の(闇しかないような役ではあったが)闇としっかりと向き合っていた。今までと違うと感じたのはゼバスティアンに「波」がはっきりと存在していたことである。今までの真田くんはお芝居の間中ずっとスイッチが入りっぱなし、というイメージがあった。声もずっと張っているし、ダーッとまくしたてるように話す台詞のあとはなかなかスローペースへと呼吸を戻せない。その為「芝居がかってる」と感じた観客が不意に一歩引いた場所へと視点を戻してしまうこともあっただろう。それが今回はスイッチのオンとオフ、感情の波が何度も訪れた。優しい口調と荒い語気の交差はよりゼバスティアンの人間らしさを見せ、彼をただの冷酷な狂乱者にはさせなかったのだ。演じようによってはもっと人間性を薄めてとうてい理解できない存在にも出来たであろうゼバスティアンという役だが、私はむしろ愛おしいとすら思った。彼を愛する恋人のソフィアの気持ちも分かった。可哀想で、愛おしくて、助けてあげたかった。今回見せた真田くんの演じ方がそういうゼバスティアンを作り上げていたのだろうと思う。

残念ながら東京公演は明日で千秋楽。もう一度観たいなという私の欲は叶えられそうもないが、これから地方各地での興行が始まる。興味のある方、なかでも過去の真田くんのお芝居を舞台だろうがドラマだろうが観たことのある方にはぜひ劇場に足を運んで頂きたい。彼の努力と研究の成果を体感してもらいたいと願う。

そのうち彼にも「ジャニーズJr.」という肩書きを外す日が来るのだろうなと思わされた舞台だった。

D公演の中村海人くん

Travis Japanの弟組と呼ばれる、宮近海斗くん、阿部顕嵐(あらん)くん、梶山朝日くん、中村海人くん、吉澤閑也(しずや)くんの五人によって行われた「ジャニーズ銀座2015」のD公演のMCにおける中村海人くんの話がしたい。私は会場に行っていないのでツイッターで拾ったレポから想像するしかないのだが、彼のキャラクターやしゃべり方・立ち位置などは「クソDDなJr担」である故にそれなりには知っているつもりで書き進めていく。

 

余計な話は割愛して一番したい話だけを。実は五人のうち四人が、3月に放送終了した連続ドラマ「お兄ちゃん、ガチャ」の出演者であった。宮近くん梶山くん吉澤くんはレギュラー、阿部くんはゲストであるが過去に連ドラ主演の経験あり。中村くんは今まで一度もドラマ出演の経験がなく、さらに今回はメンバー唯一このチャンスを得られなかったのであった。ジャニーズJr.にとってドラマに出演することが(土曜深夜のバカレア枠*1が長く続いており身近になってきたとはいえ)どれほど大きな経験で、チャンスで、自分の自信や誇りに繋がるか。さらに言うとそこからファンが増えたりより広く名前と顔を知ってもらうことも珍しくはない。一人だけドラマに出演できていないという状況は、中村くんに限らず誰が立たされたとしても嫌な汗の出るような、気持ち悪くて怖くて悔しい苦境だろうと容易に想像できる。

弟組の中で「お兄ちゃん、ガチャ」についての話題はきっとされていて、そこで誰かがふざけて中村くんをイジることもあったかもしれない。彼らはお互いの番組を見て感想を伝え合うぐらいに仲良しで、中村くんは話題の中心になり得るイジられキャラだから。でもそれをお客さんの前で、自分のファン、自分たちのファンの前で笑い話にするのは、また違うことなんじゃないかなと思う。 

 

 

 何が言いたかったかというと、「どう!?うちの子めっちゃいい子でしょ!?」というただそれだけに終始する。18歳、芸歴は今年で五年目。にこにこ笑顔が特徴のちょっと抜けてるボケキャラで、だけど手足の長さと屋良くん仕込みのダンスで魅了してくる様はさすがプレゾンプライドを誇っているだけはあって。素直で誰からも愛される*2*3うみんちゅこと中村海人くん。きっと抱いたことがあるであろう劣等感を当たり前だけど一切感じさせず、そしてファンやメンバーへ一番素直で一番誰も傷つけない言葉で「お兄ちゃん、ガチャ」DVDを宣伝したMCに、私はとても心が温まったのだ。親バカかのように愛でたのだ。この記事を読んでくれた方の脳裏に中村海人くんのポジティブイメージがうっすらとでも残って、いつか彼を見かけたときにでも「あっ、いい子の中村くんだ」と思ってもらえたらいいなと目論んでいる。

 

以上、彼の憎めないキャラクターに魅せられた私による、ただのステマ記事はこれにて終了です。ご清聴ありがとうございました。

*1:

 

plan-j.hatenablog.com

 

*2:例:今井翼さんはジャニーズweb連載『Habitacion de Alas』内1/26日記にて「プレゾンが終わり、寂しい気持ちを紛らわす為、海人に連日電話してる33歳です。」と更新。

*3:例:福田悠太さんはジャニーズweb連載『あ~ゆ~ことふぉ~ゆ~こと』内1/16日記にて「トラビスジャパンの中村海人が最近面白くなってきた事。』と更新。

ゆとり世代の産物-Sexy Zone

Sexy Zoneほど「良いゆとり」グループを知らない。

所謂ゆとり世代と言われる年齢のメンバーでグループが構成されており、グループの持つ雰囲気が「ゆとり」という眼鏡からも考察できるSexy Zone。少し前は嵐が所謂ゆとり世代に人気のあるグループと言われたりもしていたが、それとは毛色が異なる。Sexy Zoneはその本体が「ゆとり世代」なのである。

 

ゆとり世代」は穿った見方をされることが多い。「これだからゆとりは…」という目で見られがちだし、なにかにつけて「ゆとりだから…」とすぐに教育課程を持ち出されやすい。ゆとり世代ど真ん中の私自身、嫌な思いをしたことがあるしどうしようもない悔しさを感じたことがあった。しかし私がSexy Zoneに感じる「ゆとり」はそういったマイナス印象のものではなく、むしろいい意味での「ゆとり」なのだ。

 

図太さと寛容さ

Sexy Zoneは神経が図太いと思う。メンバーによって性格の違いはもちろんあって一概に全員がそうだとは言えないが、どちらかと言えばYES、なメンバーは多い気がする。少なくとも“遠慮がち”な雰囲気はない。堂々としていて、負けを恐れていなくて、自分たちならなんでもできると思ってる。ように見える。それは若さゆえの自分への無謀な期待かもしれないが、きっと10年後も彼らはそんな瞳をしていそうだなと感じさせるのだ。大御所にも大先輩にも憶せず同じステージに肩を並べているような顔で隣に立てるタレントは非常に珍しいのではないだろうか。しかしそこに誤った自己評価や無知さ無礼さ、計算高さは一切感じさせず、爽やかな笑顔で許されてしまう。特に圧倒的な「アイドルっぽさ」には堂々たる姿勢が不可欠で、多少勘違いっぽく見えたとしても貫くべき部分である。その純粋な図太さはゆとりの産物と言えそうだ。

 Sexy Zoneは寛容だと思う。それは何事に対しても、言葉の端々や行動の様子から見て感じることで、たとえば宇宙人が現れたときに攻撃する派と仲良くなる派に分けるとすれば彼らは確実に後者なのだ。え、おまえ宇宙人なの!?スッゲー!友達になろうぜ!と笑顔で言えてしまうのだ。たとえが少々ぶっ飛んでいたが、つまり彼らには想定外を楽しむ力があって、異端者を愛する心もあって、何事も社会の尺度だけで決めてかからない自由な感覚が根付いているように思われるのだ。それは優しさになり、暖かさになっている。

 

5人のキャラクターが奔放で魅力的なのは、彼らが自分たちの個性に上限を決めずに自由に振る舞える「ゆとり」だからで、彼らがアイドル性でずば抜けているのはガツガツした泥臭さを持たない「ゆとり」ならではの空気感ゆえ。今回はあえて「ゆとり」である点から彼らの魅力を再確認させてもらったが、なるほどなと頷いて頂けていたら嬉しい。

彼らにはこれから先も「俺らならなんでもできる」と思っていてもらいたいし、いくつになっても宇宙人と友達になれる人であってほしい。

 

バカレア枠を振り返る

日本テレビ系土曜深夜枠のドラマを、ジャニヲタ用語では「バカレア枠」と呼ぶ。2012年4月「私立バカレア高校」からこの枠でジャニーズ事務所のタレントを主に起用するドラマがスタートしたからだ。そんなバカレア枠が、先日の「お兄ちゃん、ガチャ」最終回を持って終了することとなった。「お兄ちゃん、ガチャ」の後続に、ジャニーズ事務所所属タレントのドラマではなく、AKB48のメンバーによる旅番組が放送される予定である。「私立バカレア高校」から「お兄ちゃん、ガチャ」まで、たくさん楽しませてもらってきたお礼とさよならの代わりに、私なりに見所やら感想やらを作品ごとに振り返っていく。「平成舞祭組男」は観ていなかったため除く。

 
  • 私立バカレア高校」2012.4〜6チープだけど勧善懲悪で清廉潔白でかわいいは正義でイケメンが最強の、アイドル好きが好きになるドラマ。それまで女の子と並ぶJr.を見る機会は少なかったが、このドラマでいつもは気づかなかった男らしい身長や骨格の大きさに萌えた。ジャニーズJr.とAKB48の共演という話題性もあり注目度が高く、一発目にしてこの枠を確立させてくれた。松村北斗のPVでもある。2012年10月に劇場版が公開された。個人的に女の子と不器用に絡むジャニーズが好きなのでひたすら萌えた。
  • 「スプラウト」2012.7〜9…知念くん主演。少女漫画原作で、とにかく甘酸っぱくてキュンとしたりシュンとしたり、私の世代的には失った青春を振り返っているような感覚だった。モノローグを大胆に使っている点が特徴。ジェシーのPV。いつめんという役どころの田中樹くん、安井謙太郎くん、前島亜美ちゃん、藤井萩花ちゃんの四人組が可愛かった。のちに安井くんが自分は中高男子校だから、共学気分を味わえたのは前にやった学園ドラマだけ。と語っているのはこれのことだろう。
  • 「Piece」2012.10〜12中山優馬くん主演。少女漫画原作のミステリー。少女の死を中心に物語が動くので話が重い。チャラいくせに闇の深い成海くんを演じる優馬くんがひたすらタイプ。とにかく成海くんかっこいい結婚して。「好きなの?嫌いなの?どっち?」を筆頭に「どっち?」シリーズは至高。ベッドで女の子とイチャつく優馬くんも女の子を軽蔑の眼差しで見つめる優馬くんも、とにかく新しい優馬くんの姿が見れる。矢内先輩を演じた松村北斗くんの黒縁眼鏡は人気が高い。小池先輩を演じた安井謙太郎くんは℃-uteの超絶美少女鈴木愛理ちゃんと恋人役だったのだが、見た目の釣り合わなさがまさに小池先輩だった。スプラウトを彷彿とさせるモノローグは成功していたのか?という疑問はある。
  • 「心療中〜in the Room〜」2013.1〜3スクールカウンセラー稲垣吾郎さんが演じ、そこに相談にくる高校生達の話。Pieceよりもさらに暗くて重くてどんより。でも質量があって好き。高校生達はたくさん色んな闇を抱えたキャラクターが登場するのだが、特に好きなのは田中樹くん演じる光くん。最初は明るく優しく家族思いな爽やかな好青年として現れる。しかし何度もセッション(カウンセリング)を繰り返すうちに、彼の家庭環境や深く真っ暗な闇が見えてくる。彼の心にはなにもない、ただただ真っ暗な底のない闇だけが広がっているのだ。樹くん本人が、仲の良い男兄弟で家族思いな性格だということを知っているファンはその役と本人とを重ねてゾッとすることだろう。当て書きかと思うほどに彼が演じるから生きる役だったように感じる。
  • BAD BOYS J」2013.4〜7中島健人くん主演。広島県を舞台に、ヤンキー達のチーム抗争を描いた青年漫画が原作。喧嘩っ早い男の子達のお話ということでこの枠の中では「バカレア」に近い雰囲気で人気を博す。中島くん演じる司がトップの極楽蝶、キスマイ二階堂くんがトップの広島ナンバーワンチームBEASTA.B.C-Z橋本くん演じるヒロが率いるホスト系チームNights。三つのチームの全く違うチームカラーも魅力のひとつ。女性アイドル達との(片思いや友達以上の微妙な距離感ではなく)がっつり恋人役も新鮮。情熱や友情やプライドのために拳を合わせるという漫画的でわかりやすい話運びのため、アイドル好きが好きなドラマではないだろうか。2013年11月には劇場版も公開された。ナイツに担当のいた私は、ナイツの出番が多かった劇場版はお気に入り。
  • 「仮面ティーチャー」2013.7〜9藤ヶ谷太輔くん主演。勧善懲悪のヒーローもので見やすい。2014年2月にスペシャルドラマ放送、劇場版放映。笑ってしまうほどぶっ飛んだ展開や演出もあるが、それも深夜ドラマならではのものと思えば受け入れられる。個人的には京本くん演じるボンがお気に入り。クールな役のイメージのあった京本くんが喧嘩が弱くて金に物を言わせるボンボンを演じていて、さらにドラマ後半になると、視聴者がホッとできるような愛嬌のある立ち位置になってきたのも良かった。スーツアクターの方もその業界では人気のある方だったらしく、特撮ファンの視聴率も高かったようだ。
  • 「49」2013.10〜12佐藤勝利くん主演。野島伸司氏脚本。死んだ父親の魂が息子に入り、息子が二重人格になってしまうというもの。はじめは勝利くんのカタコト台詞回しが心配されたが、父親の発する台詞がクサくて昭和臭のする言葉の連続であった為、むしろそのカタコト加減が良い方向へ作用するというミラクルが起きた。前作(仮面ティーチャー)などと比べると幼くて可愛らしい高校生達の物語であり、家と学校という狭い世界で居場所を作って生きていかなければならない高校生のリアルもあった。自担が初めて三番手にクレジットの載ったドラマであった。
  • 「SHARK」2014.1〜3…平野紫耀くん主演。ジャニーズJrの単独主演は初めて。メジャーデビューを夢見るロックバンドの物語。出演者の並びや撮影編集の力もあり、この枠ではずいぶん大人な雰囲気を醸し出している。現実社会の不条理さや人間の性悪的本心のようなものを見させる部分もあるのだが、平野くん演じる瑞希の振り切ったまっすぐさ(しかしあまりに子供っぽさが過ぎるときもある)と不思議な釣り合いをとっていた。今思い返すと「不恰好にまとまっていた」と感想が出る。
  • 「SHARK〜2nd season〜」2014.4〜6重岡大毅くん主演。タイトルは「2nd season」と打っているが、全く違う、既にメジャーデビューを叶えたバンドの苦悩と葛藤の物語。「夢に向かって」が根本にあったために何をしても爽やかさがついてきた前作とは異なり、「夢見ることを終えて」現実的にプロとして生きていく道筋にはむしろ後悔や虚無感がつきまとう。全体的に暗くて陰鬱としていたので、アイドル好きするドラマではなさそう。個人的にはこういった現実の冷たさや己の無力さを突き付けられる人間ドラマは好きなのだが。ジャニーズWESTのCDデビューと同時期に放送されたため、本人たちと重ね合わせる見方も出来た。前作よりもバンドの楽曲が多く、楽曲制作とバンド内問題が同時に進んでいった為、最終回のライブシーンでの回想ダイジェストには見応えがあった。
  • 「近キョリ恋愛〜Season Zero〜」2014.7〜10…阿部顕嵐くん主演。山下智久くん主演映画「近キョリ恋愛」のエピソードゼロ。超絶イケメン山下くんの高校生時代を演じるのが顕嵐くんということで、ファンの中でも顕嵐くんがイケメン枠であることが共通認識されたきっかけ。爽やかでトキメキとキラメキを供給してくれるような映像のタッチ。夏ドラマはやはりこうでなくちゃ!と思う。明るく素直で笑顔弾ける恋愛体質な凜々子とクールで近寄りがたいポーカーフェイスなハルカの義姉弟シーンが好きだった。凜々子に振り回されつつ笑顔が増えて心開いちゃうハルカ最高。
  • 「平成舞祭組男」2014.10〜2015.1…舞祭組主演。見ていなかった。
  • 「お兄ちゃん、ガチャ」2015.1~3…岸優太くん・鈴木梨央ちゃん主演。野島伸司氏脚本。ファンタジックな世界を舞台に、お兄ちゃんがほしいと願う女子小学生向けにガチャでお兄ちゃんを引くことができるというお話。とにかく設定の勝利だ。岸くんは1話から最終話まで固定で、毎話もう一人以上の「お兄ちゃんゲスト」と呼ばれるジャニーズJr.がキャラの濃いお兄ちゃんとして登場する。この世界の中のお兄ちゃんと妹の関係性はアイドルとアイドルファンの関係性に重ねることができ、主要視聴者であるJr.ファンになにかしらのしこりというか考察の種を与えてくる。最終的にハッピーエンドじゃないあたりが好き。

 

全12本のドラマを通してジャニーズ事務所の若手タレントにチャンスを与えてくれた日本テレビさんには本当に感謝しているし、ここまで漕ぎ着けて三年間守ってくれた事務所スタッフさんや関係者の方々にも足を向けては寝られない。各個人ドラマによっては好き嫌いもあったかもしれないが、今までは地上波で見ること自体が奇跡だったようなジャニーズJr.のファンとしては「あれは好き」「あれはココが面白くない」「あの子がオイシイ、うちの子の役はオイシくない」なんて持論を展開したり批判したりするのも楽しかったのだ。ただただこんなチャンスと幸せを長きに渡って提供してもらえた事実に感謝感激である。もしもまたこの枠にジャニーズタレントを起用してくれるのなら微力ながら視聴率の足しになりたいし、自担含むタレント達にもその有難味を今一度噛みしめて臨んでもらいたいなと思う。兎にも角にも、毎週土曜のお楽しみをくれたスタッフさん関係者さん出演者さんすべての方へ、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

ガムシャラJ's party vol.9、予習。

ガムシャラJ's party vol.9の出演者が発表された。

ジェシー

・真田佑馬

京本大我

森田美勇人

安井謙太郎

・萩谷慧悟

・宮近海斗

・阿部顕嵐

石垣大祐

後藤泰観

先月との変化が間違い探しレベル。じぐいわ(神宮寺・岩橋)があらちか(阿部・宮近)になっただけである。これはかなり意外だった。というのも今回は曲がりなりにも副題に「春休みコンサート」と冠しているのだ、普段の平日公演に出演しにくい学生Jr.が多く出演するフレッシュなコンサートになるものと思っていたからである。

しかし前回とメンバーが変わらないということは、相応に高いハードルが設けられているということにもなり得るだろう。前回のガムシャラを観た私の興奮はこのエントリーで感じて頂けるはずだ。

ガムシャラvol.8、復習。 - アイドルは儚いものなので

あくまで私の個人的な感想であり一公演だけしか観ていない者の言葉なので、もしかしたら今回へのハードルとしてはそんなに高いものではないかもしれない。人によって感じ方は様々であろう。しかし高さに関わらず、比べやすい事例が直近に存在するという事実は確かだ。そして比較した際、圧倒的に今月が不利なのではないかと予想している。そう考える理由は以下の通りだ。

 

  • バンド形式への慣れ

先月に続き二度目のバンド形式のライブ。前に述べたようにメンバーの入れ替えが少ないため、先月も観にきたリピートのお客さんが多いと思われる。目新しさ、新鮮さという方向では武器になりにくい。また、先月は岩橋くんの一発決めたるJのために花道が作られていてそこへ出演者が出てくることが出来たが、今月はどうなるのだろう。花道がないとなると楽器をやるメンバーの担当の方は、担当の動きが少なく見応えがないように感じるかもしれない。ジャニーズでバンドをやる場合は楽器の実力はもちろんのこと、“目でも楽しめるパフォーマンス力”がなくてはならない。四年間バンド担をした私の個人的で断定的な意見だ。ちなみにその元担はこれが抜群に上手かった。担当の扱う楽器の音だけをコンサート中ずっと拾い続け評価し続けることはできない。その方がただアイドルのファンであって楽器に詳しいわけではないのならなおさらだ。だから両手が塞がる楽器を担当することになったメンバーは表情や足元の動き、煽りの言葉でどれだけ楽しませられるか。足元も固定されて立ち位置を動くことができないドラマーなら、さらに狭い範囲でのパフォーマンスになる。それが上手くできないと、ファンは物足りなく感じてしまうだろう。


  • 曲のネタ切れ

バンド形式のライブで使いやすい曲は限られている。前回のセトリはこちら。

 
  1. 自分のために◎
  2. サクラ咲け◎
  3. LIFE〜目の前の向こうへ〜
  4. 欲望のRain
  5. Kickin' it
  6. 怪・セラ・セラ
  7. 夜は星をながめておくれ
  8. 雨傘◎
  9. 宙船◎
  10. Finally over◎
  11. Naked◎
  12. BAD BOYS
  13. 僕らの朝
  14. 前へ
  15. キ・ス・ウ・マ・イ〜KISS YOUR MIND…
  16. SHAKE
  17. 運命ガール
  18. Bitter sweet
  19. Real face◎
  20. あきれるくらい僕らは願おう◎
  21. 街角deep blue◎
  22. サンキュー◎
  23. ガムシャララ◎
  24. 自分のために◎
  25. LIFE〜目の前の向こうへ〜

◎をつけたのがバンドとして演奏した曲である。こう見るとTOKIO関ジャニ∞のバンド楽曲または少年倶楽部等でバンド演奏された過去があるものがほとんどである。マイナーすぎる曲ではファンはついていけないし、かといって先月と同じセトリには出来ない。Jr.がバンドで扱う曲が限られてることも不安要素のひとつだ。


  • 団扇なしへの対抗策の充実

先月、私が観にいったのは団扇禁止になって二回目の公演である。(21日一部から団扇禁止が始まる。私は21日二部に参加)そのとき既に、少ない人数ではあるが白い手袋に担当名を書いている人や、素手にマジックで担当名を書いている人を見かけることが出来た。今月は更にその人数が増えるまたは、他の方法でなんらかのアピールをする人が現れる可能性もある。たとえ出演者がその人にファンサービスをしなかったとしても、周りのお客さんが少し白けたような残念な気持ちになることは想像できる。前出のエントリでも書いたが、先月の盛り上がりは一体感による作用が大きかったため、お客さんの中にそのような人がいては盛り上がりにくくなるだろう。これに関してはただ、そんな人が現れないことと出演者がそんな人を容易に受け入れないことを信じるしかない。


他、

  • ファンの意欲がクリエへ向いていること
  •  じぐいわファンの多さ
などが、先月と比べた際の今月のコンサートの不利な点として浮かんだ。

ここまでひたすら今月のコンサートの不安要素を述べ上手くいかない予想を立てているが、しかしその実、私は今月のコンサートをかなり楽しみにしている。先月のコンサートを作ったメンバーを信頼しているし、その原因の究明を少なくともひとりひとりが考えて今月に生かしてくれると期待しているからだ。先月のハードルを越えてはこないかもしれない、でも何かしら先月へ対抗する術を用意しているだろうし、本人達も先月というハードルを意識して高い水準でライブ作りに取り組んでいるはず。その意欲や気概をとても楽しみにしている。
私と同じく先月に続き今月もコンサートに参加されるという方は、ここまで書いた不安要素を胸に置いて(つまりあまり期待しすぎず、彼らに優しいハードルを用意してあげつつ)高いハードルを越えねばと懸命に取り組む彼らを見て「素敵!越えてるよ!きらきら」と感想を抱けるように心の準備をしていきましょう。
 

菊池風磨というトラップ

 家で少年倶楽部を見ていると司会の河合くん桐山くん、そしてSexy Zone菊池風磨くんが突然テンション高くわちゃわちゃっとすることが多々ある。そんな菊池くんを見て母が「いつもこの子」「またこの子」「この子が喋るとほかの子が見れなくなるから出ない方がいいんじゃない?」と毎度毎度迷惑そうに言う。…すみません母はジャニヲタの娘に話を合わせる為に適当に目についたことを口に出してるだけなので菊池擁護勢のみなさん許してやってください。まぁ、そもそもは私が彼の反抗期を「むかつく!」と言った過去があるから母の潜在意識に菊池くんはむかつく奴だとインプットされてしまったのかもしれない。反省。いや、私は菊池くんが嫌いなわけでは決してないのだ。しかし彼の反抗期を見ているのがつらかった。きっと同じ気持ちだった人も多いかと思う。世間の冷たさや現実の不条理さに納得できなくて自分の無力さに苛立って大人になりきれなくて子供のままでもいられなくて、親に八つ当たりしたり無愛想な態度をとったりしていた時期って誰にでもあるだろう、菊池君の反抗期はまさに典型だった。だから、そんなトンネルを彼より少し早く通ってきた身からすると痛々しくて微笑ましくて思い出したくない過去の過ちを掘り返されているような気持ちになるのだ。それをかわいいわねと大きく包み込んであげられかったのは、私もトンネルを抜けたばかりでまだ修業が足りなかったからなのかもしれない。

 

 そんな彼のイメージをもっとも印象付けるのはJin Akanishiイズム…と言ってはいけないかもしれないが、きっと赤西仁くんのような存在を目指しているんだろうなと視聴者に想像させるソロ曲の全体感、本人の容貌の雰囲気、ワルっぽいキャラクター。現在は落ち着いたお兄さんだが、ほんの少し遡れば前述の反抗期時代に行き当たる為、彼のファンじゃない人には自分勝手で無愛想で仕事に手を抜いているように思われてしまうのも無理はない。私はそんな風に、仕事を仕事と割り切れず与えられた場に甘えている子供っぽいアイドルが、アイドルの中で唯一嫌いである。

しかしどうしてだろう。むかつくけれど、悔しいけれど、どうしてだか菊池風磨は嫌いになれないのだ。どうしても許してしまうのだ。彼にはそんな魅力がある。菊池くんを表現する際によく用いられる言葉であるがまさにその通り、「根はいいやつ」なのだ。私のとてつもなくむかつく気持ちが分かるだろうか。糾弾する材料を手元にそろえて、私はこの人が嫌いだ!と自分の中で断定づけようと決めたのに、なのにどうしてもエンターキーが押せない。本当はいいやつなの…嫌いなんて言えない…マリウスをいじめレベルにイジったあとにさりげなく言う「嘘だよ」の優しいこと、聡くんをバカバカと言うわりに弟のように可愛がって気にしていること、めったに言わないけれど自分とは正反対の相棒を尊敬して愛していること、センターに立つ勝利をちゃんと立ててちゃんと尊敬して守ろうと思っていること…時折見せるツムツムのようなクシャッとした笑顔や、兄貴肌でメンバースタッフに頼られているところ。エンターキーを押す人差し指が動かない。嫌う理由が揃っているのに、それを行使できない。そうして私はいつも結局、菊池風磨を愛でてしまうのである。根はいいやつなんだ。本当はピュアで賢くて義理堅くて不器用でかわいいやつなんだ。なんだかんだ言ってピンチのときには助けてくれるんだ。ザ・ファンシーなマリウスとは違った意味で「愛すべき」キャラクターだと思う。

 

そんな難しい感情を、菊池くんに冒頭のような印象を持つ母にはどうしても理解してもらえなかった。母が菊池くんを悪く言うたびに「う、ううん…そうなんだけどね…」と私は言葉を濁す。母の言葉は正しい。反論の余地はない。菊池くんには嫌われる要素が分かりやすく備わっている。しかし愛される要素はかなり分かりにくく、奥深くに潜ってしまっている。説明しようにもうまく出来ず、母からの菊池排除要請をいつも濁してスルーしていた。なんとか菊池くんのよさをわかってもらいたかったのに、説明出来ないことがもどかしかった。しかし、あるときにふと思いついたたとえが我ながらすごく的を射ているのでここぞとばかりに大文字でドヤ顔をさせてもらう。

 

 

「菊池風磨はジャイアンみたいな存在。むかつくことも多いけど、劇場版があるから嫌いになれない。」

 

 ジャイアンだ。彼の魅力はジャイアンのそれと同じ方式なのである。どうだろう、この言葉でここまで長々と語ってきた菊池くんへの言い表せられない感情を大まかにはカバーできてしまうと思わないだろうか。

私と同じように菊池くんを嫌いになれない理由を他人にも自分自身にも説明できない方は、良けれぜひこの表現を使っていただきたい。そして菊池くんのジャイアンたる面をご存知ない方には早急に「Sexy Zone channel」を見ることを強く勧めたい。きっとあなたも菊池風磨を嫌いになれず悔しい思いをするだろう。私はこの「嫌いになりたいのに…!くそ…嫌いになってやりたいのに…!!ふまたんのバカ!!悔しい大好き!!!」なんていうアホな悔しさが結構好きでオススメしたい。

ガムシャラvol.8、復習。

「ガムシャラJ's party vol.8」に行ってきた。ブログのネタにしてはかなり今更であるが、備忘録的に記しておく。

私が入ったのは2/21夜公演、オーラスである。この公演はすごかった。すごかったなんて簡潔な言葉でしか表現できないほどに、すごかった。ガムシャラ公演に何度も入った経験や記憶から推測するに、ジャニーズJr.が創り出すライブとしては近年類を見ない盛り上がりと一体感だったのではないだろうか。ファンが熱かったし、出演者も熱かった。どちらが先でどちらを持ち上げているのかは卵と鶏の話だが、どちらもお互いに影響し合ってどんどん熱さを増していったように思う。ステージ上のJr.達が口々に何度も、心底驚いたように「なんだこのライブは!?こんなに盛り上がる!?スゲーな!!なんだよこれ!!」とオープニングからダブルアンコールまでずっと言っていたのが印象的だ。これからもそういうライブを作ってもらいたいという願いを込めて、今回のライブの成功要因を私なりに考えてみたい。

 

1.団扇禁止 

19日から始まった今回のガムシャラ公演であったが、最終日である21日の一部から突然「団扇やネームボードを使用しての応援」が禁止項目に加わった。団扇に遮られてステージが見えないというクレームがあったそう。その件を家を出る前にツイッターで知った私はあんなにデカくて目立つものを“持っていき損”せずに済んでラッキーだったし、同じように軽装備のお客さんがほとんどであった。残念ながら持ってきてしまっていた人も見受けられたが、誰一人としてルールを破って団扇を出す人はなかったことを報告しておく。嬉しい当たり前だ。一部ですでに実施されていた為に、二部では皆心構えができていて反感を抱く人も少なかったようだ。

団扇がないということは、担当掲示や求めるファンサのアピールが出来ないということ。タレント側も自分のファンが分からず、ファンサも求められず、とにかくタレント全員でお客さん全員を盛り上げる為に大きく動くことに力を割いていた。拳を突き上げる動きで「ッゥオイ!オイ!オイ!」が多かったのはステージ上も客席も同じだ。出演者も客も、“盛り上がること”を一番に優先できていた理由に団扇禁止が大きく由来したように思う。

2.客層
今回の出演者最年長はキーボーディスト石垣大祐さん29歳。今までのガムシャラ出演者の中でも最年長だ。自ずと彼のファンの年齢も、他のJr.のファンよりもそれだけ上に広くなるだろう。石垣くん(29)、後藤くん(25)あたりのファン層は今までのガムシャラとは違う。また、舞台で活躍する彼らのファンは団扇を使った応援やファンサを貰う為のコンサートという感覚が薄い人が多い。バンド出身の二人であるためライブハウスのスタンディングでの盛り上がり方を知っているファンの方も多い。そういうファンの動きに、周りのファンが引っ張られて良い循環が出来ていたのではないだろうか。
3.バンド形式
これに関しては、ファンはもちろんだが出演者達のテンションを上げる大きな要因になっていたようだ。普段の歌って踊るためのステージではアイドルを全うする意識が無意識に身体に走っているだろうが、今回は京本くんがエンディングで言っていた「俺たちアイドルだぜ!?アイドルなのにこんな…こんな(ファンが拳を突き上げて熱気を発して盛り上がる)ライブしちゃって…」という言葉からも察せられるに、自分たちアイドルができると思っていた限度というか範疇を超えたライブだったようである。ヘッドバンキングをしたり、男っぽく拳を突き上げて客に汗をかかせたり。“アイドルである自分自身”を“あなた”に楽しんでもらうというよりも、“熱気に包まれて盛り上がる一体感”を“みんな”で楽しもうというライブは今のユニット消極傾向のジャニーズJr.ではなかなか作り出しにくいものであった。キャリアを積むほどに良くも悪くも順応していくジャニーズの常識や固定概念を僅かでも壊す(ひび割れ程度かもしれないが)ことができたのは、きっと本人達にとってものすごく啓発的で有意義で気持ちの良い体験だったのではないだろうか。バンド形式をとることによって見落としていた、手を伸ばせずにいた部分に触れることができたようだ。

他にも様々な要因があって、ファンもタレントも感じたことのないような高揚感のあるライブができたのではないだろうか。神宮寺くんの言葉を引用するならば「歴史的瞬間に立ち会えた」わけである。そんな歴史的ライブであったわけである。正直に言うと上記の要因が本当に成功の秘訣だったかは自信がないし、思いついたことを書いてみただけで見当外れかもしれない。同じ条件が揃っても同じようなライブにはならないだろう。それでも彼らには何故あんなライブが出来たのかを深く考えてこれから先への糧にしていってもらいたいし、あのような「歴史的」ライブを恒常的に行ってほしいと期待してしまう。
個人的には、自担がたまたま出演していてあの感覚を経験出来たラッキーに感謝しつつ、あの感覚を体感して自分の糧にして欲しいと望む多くの子達が出演していなかったことを残念に思う。それくらいに、あのライブを作ったという経験は大きなものだろう。